岸田総理の自民党総裁選挙不出馬表明を受けて
8/14に岸田総理が9月の自民党総裁選挙への不出馬を表明しました。現在は、自民党総裁=内閣総理大臣ですので、これによりましてこの秋には新しい総理に代わります。
在任期間の3年間の取り組みについて功罪あったと思いますが、政治家の出処進退に対する自身の判断で、我が国の総理大臣の決断ですので、極めて重いことを私なりに承知した上で総理の見解に対する違和感を敢えて3点述べます。
1.先ず「不出馬」の見解についてです。
岸田総理が言うところの「私が身を引くことでけじめをつける」は裏金事件を始めとした「自民党トップとしての責任」との説明です。
総理大臣の任期は(事実上)衆議院の任期と同様に4年です。
一方で、自民党の総裁任期は3年で、この9月まででした。つまり、どうであれ総裁選挙が行われる予定でした。よって、言い換えれば自民党総裁としては「任期を全う」しています。
総理大臣としての退陣はその通りですが、「総裁から身を引くことでけじめをつける」との総理の見解は「辞任」や「退陣」ではなく、任期切れに伴う「勇退」と捉えていると想像します。ですが、それって本当に国民に対する「責任」と「けじめ」なのでしょうか。
2.次に「政治とカネ」の見解についてです。
岸田総理は会見で「派閥解消、政倫審出席、パーティー券購入の公開、上限引き下げなどの判断についてご批判もいただきましたが、国民の信頼あってこその政治であり、政治改革を前に進めるとの強い思いを持って、国民の方を向いて重い決断をした。」と述べました。
「国民の信頼あってこその政治」は言うまでもなく「その通り」でありますが、「国民の方を向いて重い決断をした」はやはりズレていると思います。
自民党内で起きた「政治とカネ」の問題と、プラスその対応、つまりその決断(政治改革?)の中身が国民の納得できるものではないから「国民の信頼」が著しく低下したのであります。
つまり、全く逆なのです。
3.次に「これまでと今後」の見解についてです。
「新総裁の下で一致団結、政策力、実行力に基づいた真のドリームチームを作ってもらい、そして何よりも大切なことは、国民の共感を得られる政治を実現すること」と述べました。
揚げ足取りのように聞こえるかもしれませんが、自らの総裁期間は「真のドリームチーム」では無かった・・・と聞こえます。同時に、「そのことにより」自らは「国民の共感を得られる政治」を行えなかった・・・と述べたように受け止められます。
既に、事実上の総裁選はスタートしています。
名乗りを上げられる方は推薦人(所属国会議員20人)が必要とのことです。その中には多分「裏金議員」も含まれることでしょう。仮に、そうでなかったとしても「裏金議員」は現在も82人現職であり、議員投票権がある方は内77人いると思われます。果たして、「政治の信頼を回復する」為に、説明不足や全容解明に向けて今まで以上に踏み込んだ対応を表明できる候補者がいるのでしょうか・・・
物価高に始まり、国民負担率の増加などにより国民生活は待った無しの状態です。景気対策、少子化対策、外交防衛などの課題も山積しています。これらへの対応が最も重要であることは言うまでもありませんが、岸田総理が言うところの「国民の信頼あってこその政治」を目指すのであれば、前提として「政治とカネ」についての厳しい姿勢が求められると思います。
同時に、そのことは我々野党にも課せられていることは言うまでもありません。
※ところで、岸田さんが3年前に言っていた「令和の所得倍増計画」はどうなってしまったのでしょうか・・・